例えば「日米地位協定改定」の再交渉。米政府当局者から「われわれは興味も意欲もない」(時事ドットコム10月1日)と釘を刺されたことで、保守派を中心に反発が生まれている。世界的には保守とは、自国第一主義なので「反米右翼」となることが多いが、日本の保守は「親米右翼」である。

 つまり、「日本に不利益があっても、アメリカ様の嫌がることはしてはならぬ」というタブーが永田町や霞ヶ関にはあるということだ。秩序を乱す石破氏へ「制裁」をすべきと考える人たちも当然、存在している。

 また、「2020年代に最低賃金1500円」もよろしくない。中小企業経営者の団体「日本商工会議所」の小林健会頭は昨年9月1日、岸田政権の掲げた「2030年までに最低賃金1500円」という目標について「やむえない」と理解を示したが、それがわずか1年で新首相がドカンと前倒しをしたのである。理解を示すのは難しいだろう。

 日本商工会議所は約125万事業者の会員数を誇り、自民党の有力支持団体である。自民党総裁はここの機嫌だけは絶対に損ねてはいけない。地元の商工会や中小企業経営者から手厚い選挙支援を受けている議員の中には、「石破おろし」を検討し始めている者もいるかもしれない。

 ただ、個人的にはこのような「石破叩き」が盛り上がるほうが、国民にとってはいい兆しのような気がしている。