「施設はお金がかかる」という定説
毎月の費用は在宅のほうが安いが……

 まずは、金銭面で比較してみます。介護する側は、ケアが大変なので施設に入所させたほうがいいと単純に考えがちですが、実際のところ年金が少ない高齢者は費用を賄うことができず、子が金銭的な負担をしなければいけないケースが多いため、現実的な選択ではありません。必然的に、在宅での介護も考えておく必要があるのです。

「生命保険文化センター」の調査によれば、介護の期間は平均で5年間とされています。その5年間で考えると、施設の場合は総額700万円程度かかりますが、在宅ならば350万円程度と、半分で済みます。毎月の費用の平均は、医療施設は平均月12万円に対し、在宅介護は平均月5万円です。

「え?こんなに……」
在宅介護にかかる意外な費用

 では、在宅介護の場合だと、本当に安く済むと言えるのでしょうか。

 在宅介護では、毎月のレンタル料金が主な支出となります。具体的には介護サービスで親の自己負担が1割の場合は、ベッド、歩行器、車椅子、スロープ、トイレに歩いていけない場合の採尿機など、毎月各1000円ほどで1万円あまりかかりますが、他に徘徊察知用品、スクリーンセーバーなどの自動排泄処理装置などもあり、さらにオムツなどの消耗品が含まれます。介護ヘルパーなど訪問介護や通所介護など、合わせて月3万円あまりです。

 しかし、それ以上に忘れてはいけないのが初期費用です。実際には自宅の場合、階段をエレベーターにしたり、風呂場に手すりをつけたりなど、リフォーム代が初期投資としてかかります。高齢者が転落する場所の多くは自宅です。介護を始める際にリフォームや住宅改修はどうしても必要で、100万円から200万円は覚悟しておくことです。