総予測2025#53Photo:PIXTA

2025年は戦後80年目に当たるのと同時に、昭和元年から数えると昭和100年となる。この間を通じて、日本の企業社会はどのような変化を遂げてきたのか。特集『総予測2025』の本稿では、「ダイヤモンド」の記事と共にひもといていく。(ダイヤモンド編集部論説委員 深澤 献)

戦後80年、昭和100年を
ダイヤモンド誌面で振り返る

 まず、前史として昭和初期~終戦(1926~45年)は、国家による軍需産業化が進展。特に40年以降の国家総動員体制により、企業の自主性は失われ、軍事目的の経済計画に組み込まれた。

 当時の日本企業を支配する価値観は、「国家至上と軍需経済」といったキーワードとなろう。37年に設立された内閣直属の企画院は、生産力拡充計画や国民動員計画などを作成し、企業活動を直接統制して、軍需産業への集中を求めた。企業経営は「国策遂行」が最優先された時代である。

 37年7月の臨時増刊号「新経済政策と財界の前途」では、計画経済、経済統制下で企業経営がどうなるか、子細に分析している。巻頭には「計画経済は従来の自然経済と多くの摩擦を惹起する。今後の経済界は多事多端であるため、その解説を行った」とある。

 なお、戦時統制下の大政翼賛体制(国家総力戦という国策協力に向けた政治体制)では、結社や言論の自由などが奪われ、報道機関の多くが体制側に組み込まれていった。残念ながらわれわれも例外ではない。

では、本誌はどのような論調で太平洋戦争を捉えていたのか。次ページ以降では、当時の記事を見てみよう。そして戦後80年を五つの時代に分けて、各時代を象徴する記事を紹介しながら、社会や経済を取り巻く環境や価値観が時代ごとにどう移り変わってきたのかを解説していく。