まず、非生産的行動は、それを目撃した人に多大なストレスをかける。いつ、自分がターゲットになるかと、びくびくしながら仕事をすることになってしまうのだ。

 今後仕事をしていく上で不安になるほか、ストレスを感じながら職務に当たっていくので仕事の満足度ははっきり低下してしまう。

 さらに、ターゲットになる恐れのない人にも、ストレスは発生する。人間は共感能力を持つ生き物だ。他人が理不尽に困難な状況にあるとき、われわれはそれを無意識のうちに自分の心の痛みとして捉えてしまう。さらに、人間は道徳心を備えた生き物でもある。正しくないと感じることが起これば、それもまたストレスになる。

 次に、非生産的行動は「組織的公正」を低下させる。組織的公正とは、その組織がフェアに、正しく運営されている状態のことだ。非生産的行動を目撃し、「この組織に正義はない」「不正をするほうが生き抜く上で賢い」と人々が感じたならば、もはや組織は公正に動いていくことはできない。

 トップが不正をすれば、もうその組織にルールは存在していないも同然といえる。人々は組織に絶望し、組織のありように不信感を抱き、感情的な離反が発生する(情緒コミットの低下)。

 かくして、組織トップが越権的な行為やパワハラを行ったとすれば、その他の部分でいかに優秀・有能であろうとも、その人物が君臨する限り、組織はもう健全に存立していくことが困難になってしまう。