理不尽を経験したら
コミュニティーを信用できない

 話は少しそれるが、日本では子どもたちの幸福感が先進諸国の中では抜きんでて低いことが知られている。

 その理由も、ここから垣間見えてくるのではないか、と私は思う。子どもたちは、小学校時代から、理不尽を経験する。いじめが横行しても、それが大人によって隠蔽(いんぺい)されたりする。大人がひいきをしたり、正義が行われない様子を目の当たりにしたりする。そのようなコミュニティーの中で周りの人間を信頼しろと言われても、無理がある。

 この組織に、正義などない。トップがそのように感じさせてしまうことの悪影響は、組織全体に及ぶ。問題は、早々に是正されなければならない。トップのパワハラや不正行為は組織を滅ぼす――理論としてもデータとしても、経営学では答えが出ていることなのだ。