自動車・サプライヤー SOS#4Photo:AFP=JIJI

「下請けいじめ」が問題になった日産自動車の陰に隠れて目立たなかったが、ホンダにもサプライヤーとの問題が山積している。ダイヤモンド編集部の自動車メーカー取引先アンケートで、ホンダが部品メーカーにリベートを要求していることや、海外での部品調達で原価低減の圧力をいまだ強くかけていることが明らかになった。特集『自動車・サプライヤー SOS』の#4では、ホンダのサプライヤー政策の問題点に迫る。(ダイヤモンド編集部副編集長 千本木啓文)

ホンダのアキレス腱は
開発パートナーの日立アステモ

 ホンダは2021年4月、新社長に就任した三部敏宏氏が「脱エンジン」を宣言した。40年までに新車販売の全てを電気自動車(EV)と燃料電池車(FCV)にするという野心的な目標だ。

 一方、足元では北米などで販売が好調なハイブリッド車(HV)の重要性が再び高まっている。同社はEVだけでなく、脱エンジンに向けた“つなぎの技術”としてのHVの性能向上にも注力する方針だ。

 つまり、ホンダは限られたリソースで、売上高が2倍もあるトヨタ自動車と同様に、EV、FCV、HVなどの複数の駆動システムを同時並行で追求するという難しいチャレンジをしているのだ。それを成功させるには、有力なサプライヤーに開発パートナーになってもらうことが欠かせない。

 そこで、ダイヤモンド編集部は、自動車メーカー取引先アンケート(下図参照)を実施し、サプライヤー幹部ら251人にホンダへの評価を聞いた。

 アンケートでは、ホンダが、インフレや人件費の高騰などを踏まえ、調達する部品価格を適正化し始めていることが分かった。ホンダが「現在も値下げ圧力をかけてきていると感じる」と回答した人は25%と、トヨタの31%や日産自動車の34%を下回った。

 また、「値上げ許容度」の得点(5点満点)も2.7点と、最も高かったトヨタの2.9点には及ばなかったが、日産の2.4点を上回った(詳細は本特集#1『【自動車サプライヤー幹部250人調査】トヨタ・ホンダ・日産の「通信簿」、役員のビジョン・値下げ圧力などを辛口評価』参照)。

 ただし、ホンダに問題がないわけでは全くない。サプライヤーにリベートの支払いを求めたり、海外では一律の原価低減を要求したりして部品メーカーの反発を招いているのだ。

 次ページでは、ホンダのリベートや原価低減の要求水準を明らかにする。また、クルマの開発に当たって、短納期を強いるサプライヤー酷使の実態にも迫る。