寄席で短い時間のときなどに頻繁にかけられる噺の一つです。
この二人、両極端ですが、人には人の生まれつき持っている「ペース」があるものだとわきまえたくなる一席です。その基本的な「ペース」こそ肝心で、だからこそ周囲からけしかけられるような情報に振り回されないほうがいいよと、この落語は訴えているのかもしれません。
とにかく、この世は“情報過多”です。各種媒体に記事を書くのも生業にしている私が言うと説得力がないのですが(笑)、ネットでは書いた記事を全文読むために、たくさんの広告をいくつ素通りしなきゃいけないのかと思うほどであります。
落語を聞いてのんびりできるのは、基本的に落語の登場人物は、この『長短』のように「のんき」だからではないでしょうか。短七だって短気に見えますが、長さんと仲がいいというのは基本「のんき」だからではと確信しています。
「座って半畳、寝て一畳、天下取っても二合半」とはよく言われる言葉ですが、いくら情報が過密になり、追い立てられても、人間には「分」があるはずです。