自分の持ち前の「分」というペースを超えてまでも入ってくる情報は、基本無視していいのではと思います。もう最近「ある有名なサングラスのブランドのコマーシャル」がしつこすぎて、本来優秀なサングラスであるはずなのに、「色眼鏡」で見えてしまっています(あ、ここ笑うところですから)。

タイプが違う相手ほど
案外“ウマが合う”?

 そして、この落語は「キャラとかタイプの違う者同士って、案外うまくいくもの」という真理をも示唆しているのではと思うのです。

 私が芸人としてふざけたことばかり言う日々なのを、いさめる立場で日々財布のひもを固く握っているのがカミさんです。タイプが違うから長つづきしているのかもです。談志と談志の女将さんも、性格もキャラも真逆でしたから、長年円満に添い遂げられたのかもしれません。

 人間同士の見事なサンプル提示としても、この噺は機能していそうです。

 そして、何より、この落語のオチ「教えないほうがよかった」は談志が惚れこんだ名言中の名言であります。

「世の中、教えすぎなんだよ。教えないほうがいいんだよ」とはよく言っていたものでした。談志は「俺は勝手に発信しているだけだ。感受性の強い奴なら受信する」と言い、「俺は教師ではない。教えるのは仕事ではない」と続けていました。