「野球記録の父」最大の発明が
1863年のボックススコア

 弟のヘンリーは、アメリカにわたって全く異なるスポーツの分野で、24歳上の兄と同じ統計学的な手法による野球の記録法を考案し「野球殿堂(Hall of Fame)」入りを果たしている。兄のエドウィンが「公衆衛生学の父」なら弟のヘンリーは「野球記録の父」と言ってよい。

 ヘンリー・チャドウィックは、アメリカで最初の野球ジャーナリストと言われたウィリアム・コールドウェルに雇用され、マーキュリー紙の野球記者となる。同時に、野球規則委員会のメンバーとして野球のルール整備に尽力した。そして自身が整備したルールに則って試合結果を知らしめるために記録法を整備したのだ。

 チャドウィックの最大の発明は、1863年に考案した「ボックススコア」だとされる。これは、試合ごとの選手成績をコンパクトに集計したもので、ボックス型にまとまっているのでボックススコアと呼ばれるようになった。ボックススコアは今では、野球だけでなくサッカーやバスケットボール、アメリカンフットボールなど多くのスポーツで広く使用されている。