1年前までは同じ屋根の下で、食べ盛りの自分がいた食卓。たくさんの食べ物を前にして、それを食べきれないときに、家を出て行った息子の存在を思い出すこと。僕自身が親になって、息子を持つ身になって、この手紙がさらに心を打つようになりました。
父は別にうまく書こうとはしていません。ですが、逆にそれがいい。ただ想いをそのまま感じたままに紡いだだけ。本人にあらためてこの手紙のことを聞いてみても、「こんな手紙、書いたやか」と照れていました。
うまいことを言おうとせずに
書くから心を動かすものになる
うまいことを言おうとしないからこそ、心に響きます。感情のままに書き綴ること。それこそが饒舌でなくとも、一番心を動かす文章になる、と思います。
うまいんだな、これがっ。
(サントリーホールディングス「モルツ」/一倉宏)
この一倉宏さんの書かれたモルツのキャッチコピー。一見ゴロッとそのまま感情を切り取ったようなこの言葉。だからこそ、強く心を揺さぶる力があります。
親からの手紙など、自分が心を動かされた言葉はできるだけ取っておくのがいいと思います。