発端はハリス氏のマックアピール

「あなたがマクドナルドで働いていたという噂を聞いたのですが?」

 今年4月、質問を受けたハリス氏はこう答えた。

「はい、学生時代にマクドナルドで働きました。ポテトを揚げたり、レジを担当したりしました」

 ハリス陣営は「マックジョブ」として知られる低スキル・低賃金の職業経験を強調することが有利であると判断し、8月に広告キャンペーンを開始した。

「彼女は中流家庭で育ち、働く母親の娘として学位を取得するかたわらマクドナルドで働いていた」というナレーションのCMを制作したのだ。広告では「富を受け継ぎ、銀のスプーンをくわえて生まれた男に対抗するのは、彼女の人生と経験の素晴らしい部分です」とも訴えている。

「銀のスプーンをくわえて生まれた男」とは、裕福な家庭に育ったトランプ氏を暗に批判するものだ。「銀のスプーン」は英語圏で裕福な人を指す慣用句である。

 ハリス陣営によれば、1983年の大学1年生の夏休みにカリフォルニアのベイエリアにあるマクドナルドのフランチャイズ店でアルバイトをしていたとされる。

 ただ、ハリス氏は2019年までその経験を全面に押し出すことはなかった。