電気自動車(EV)の普及には、バッテリー市場の活性化が不可欠だ。政府もバックアップの姿勢を鮮明にしており、昨年と今年で総額7000億円近い補助金が電池産業に投下される見通しだ。国の後押しを受けた自動車メーカー各社は、それぞれ電池サプライチェーンを固めつつある。特集『自動車・サプライヤー SOS』の#12では、パナソニックをはじめバッテリーメーカーの戦略を明かすとともに、トヨタ自動車、ホンダ、日産自動車など各陣営の「電池サプライチェーン」を一挙公開する。(ダイヤモンド編集部 今枝翔太郎)
自動車大手が“電池パートナー探し”に奔走
パナソニックが「台風の目」に
世界的な脱炭素の潮流の中、自動車メーカーは電気自動車(EV)の強化を迫られている。足元ではEVの需要が踊り場に来ているとはいえ、中長期的にEVシフトが進むのは必至だ。EVに搭載するバッテリーの需要は飛躍的に増大しており、日系自動車メーカーは調達先確保に躍起になっている。
ただ、車載バッテリーは、世界シェアの6割以上を中国が握る。経済安全保障上の重要物資であることから、政府はバッテリーの国内生産基盤の強化に動いており、電池産業への援助を惜しまない。詳細は次ページで述べるが、日系自動車大手やバッテリー関連企業に総額7000億円近い補助金が投下される見通しだ。政府の後押しを受けながら、自動車各社は自陣営の電池サプライチェーン構築を進めている。
バッテリーメーカー側で台風の目となっているのがパナソニックだ。パナソニックは、バッテリーの主要顧客である米テスラが失速したため、「脱・テスラ一本足」を進めるべく、国内での販路拡大を急ぐ。
自動車大手、バッテリーメーカー双方がパートナー探しに奔走し、補助金を獲得したことで、電池サプライチェーンの陣容が固まりつつある。他に先駆けて足場を固めたのはどの陣営だろうか。
次ページでは、パナソニックをはじめ電池メーカーの戦略を明かすとともに、トヨタ自動車、ホンダ、日産自動車といった各陣営の「電池サプライチェーン」と補助金獲得額などを一挙公開する。