ロシア人男性の寿命は、1950年には50.7歳、2000年には58.6歳という、世界の中でもひときわ目立つ短命であった。2020年時点でも67.3歳しかない。しかも、ソ連邦崩壊、ルーブル暴落のような社会不安のたびに男性の死亡率が悪化する(図3-4)。ウクライナ侵攻でまた男性の死亡率が一段と高くなったのではなかろうか。

図表3:1980年から2012年までの15歳から54歳のロシア人男性の死亡率と死亡リスク同書より転載
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 ウオッカの飲み過ぎで、自殺、殺人というのは信じられないが、ウオッカにはアルコールだけでは説明できない危険性が潜んでいるに違いない。

 1970年代の後半、まだソ連邦のころ、WHOの仕事でモスクワに行ったことがある。アメリカ人と一緒に、ソ連流の接待を受けた。私はある程度酒を飲むとそれ以上飲めなくなるので無事だったが、ウオッカの杯を重ねていたアメリカ人は腰が抜けて、私がホテルまで抱えるようにして送っていったことを思い出した。

 ちなみに、ネット情報によるとプーチン大統領はほとんどウオッカを飲まないという。ウクライナで戦争犯罪を繰り返しているのはウオッカのせいではなく、本人の責任である。