この先も誹謗中傷はなくならないワケ
「誹謗中傷もうやめよう」「他人をおとしめるのはかっこ悪いよ」――。
そんな呼びかけが、ネットやSNSにあふれている。先日、タレントのryuchellさんが急逝されたことを受けて、生前、本人がネットやSNSで誹謗中傷を受けていたことが原因ではないかという臆測が広がったからだ。
もちろん、死の真相は永遠にわからない。ただ、芸能人や有名人がネットやSNSですさまじい誹謗中傷を受けていることも紛れもない事実であり、実際に過去には女性プロレスラーの方が、心ない誹謗中傷が原因で死に追いやられている。そのため、かねて「日本のSNSは匿名性が高いので誹謗中傷が悪質すぎる」という意見があり、それが今回再注目されている形だ。
ただ、残念ながら、いくらこのような呼びかけしたところで、日本から「誹謗中傷」が消えることはないだろう。誹謗中傷している人は自分が誹謗中傷をしているという自覚はない。むしろ、相手の間違いを指摘して言動を正してやっている、くらいにさえ思っている。
なぜこういう「ゆがんだ正義心」が生まれるのか。いろいろな意見があるだろうが、筆者は日本人が100年以上受けてきた「教育」の弊害だと考えている。
我々は物心ついた時から「ルールやマナーを守れ」「みんなに迷惑をかけるな」ということを骨の髄まで叩き込まれる。教育基本法や学校教育法の中に「規範意識の育成」ということが掲げられているからだ。もちろん、この方針自体は悪くない。
問題は「規範意識」に熱が入りすぎて「過剰」になってしまっていることだ。
ご存じの方も多いだろうが、日本の学校教育は世界的に見るとかなり特殊だ。異常に厳しいブラック校則、同じ制服、同じカバンの強制、軍隊的な部活動、そしてクラス内での「班」行動などなど、他国の子どもと比べて「規範意識の育成」を徹底的に叩き込まれる機会が多い。この「規範意識=絶対正義」という極端な教育方針を改めない限り、「誹謗中傷」は絶対になくならない。
一体なぜか。