竹内まりや「プラスティック・ラヴ」竹内まりや「プラスティック・ラヴ」は、1984年発売のアルバム「VARIETY」の収録曲。2017年、YouTubeに非公式にアップされたこの曲の解説動画が2400万回以上再生されたことをきっかけに海外での人気が高まった。海外でのブームを受け、ワーナーミュージック・ジャパンは公式プロモーションビデオを制作、YouTubeで公開した

2023年、YOASOBIの「アイドル」が日本だけでなくグローバルで大ヒット。特に、米国ビルボード・グローバル・チャートで首位を獲得したことは世間を驚かせた。前編では「アイドル」がなぜ海外でもヒットしたのか、J-POPがどのような流れで海外で受け入れられているのかについてひもといた。本記事ではJASRAC理事で「音楽×テクノロジー」に詳しい鈴木貴歩氏にインタビュー。竹内まりや「Plastic Love」や松原みき「真夜中のドア~stay with me」といった昭和の「シティポップ」が、なぜ今、海外でも人気があるのかについて考察していく。(聞き手/ジャーナリスト・研究者 まつもとあつし)

>>前編『YOASOBI「アイドル」はなぜアメリカでもヒットしたのか?成功を支えた「3つの民主化」とは』から読む

テキスト重視の日本の音楽が、
なぜ日本語が通じない海外で受け入れられたのか?

――「オリジンを大切にする」「メロディ重視」が日本の音楽の特徴であり、だからこそ「初音ミク」のようなボーカロイドを用いた楽曲が人気を博した。そしてそれを支えたのが「ニコニコ動画=テキストカルチャー」だったというのは納得です。しかし、テキストカルチャーとなると、日本語でもありますし、かなりその解釈もハイコンテクストでもあるように思えます。それでも海外で受け入れられているというのは不思議でもあります。そこでアニメが果たした役割というのも大きそうです。

鈴木貴歩氏:2015年頃からNetflixやAmazon Primevideoのような動画配信サービスが世界中に拡がった中で、特に北米などでアニメの需要が高まっているというデータがいくつかあります。

図表:グローバルにおけるアニメ需要の伸張グローバルにおけるアニメ需要の伸張。2020年9月を100%とすると、米国市場は約1年で125%程度に伸びている(Growing Global Demand for Anime | Parrot Analytics より引用 ) 拡大画像表示