鈴木貴歩氏鈴木貴歩氏。ParadeAll株式会社 代表取締役、エンターテック・コンサルタント。ゲーム会社、放送局でコンテンツ企画、事業開発を担当した後に、2009年にユニバーサルミュージック合同会社に入社。デジタル本部本部長他を歴任し、音楽配信売上の拡大、全社のデジタル戦略の推進、国内外のプラットフォーム企業との事業開発をリードした後独立。2016年にエンターテック(エンタテインメントx テクノロジー)に特化したコンサルティング会社、ParadeAllを起業。日米欧の企業へのNFT他Web3.0活用、事業戦略、事業開発、海外展開のコンサルティング、日欧中のスタートアップのアドバイザーに加え、2022年よりJASRAC理事も務める。 Photo by Atsushi Matsumoto

YOASOBI「アイドル」やCreepy Nuts「Bling-Bang-Bang-Born」、また80年代シティポップなど、日本の楽曲が日本語のままで海外でも聴かれ、ヒットするようになってきている。大きな進歩とはいえ、それでもK-POPなどに比べると、まだまだグローバルでヒットするJ-POPは少ないのが現状だ。J-POPが今後もグローバルでヒットを量産、持続可能なものになっていくために、音楽業界がやるべきこととは何だろうか?ユニバーサルミュージック出身で、現在はJASRAC理事を務めながら、エンターテック(次世代エンターテインメント×テクノロジー)の最前線で活躍する鈴木貴歩氏に聞く。(聞き手/ジャーナリスト・研究者 まつもとあつし)

>>前編『YOASOBI「アイドル」はなぜアメリカでもヒットしたのか?成功を支えた「3つの民主化」とは』から読む
>>中編『竹内まりや、松原みき…昭和の「シティポップ」がなぜ今、海外でブームなのか?』から読む

J-POPブームを持続させるために、
業界が取り組むべきことは?

――先ほど「3つの民主化」というキーワードが出てきましたが(前編にリンク)、経産省のレポートの中では、YOASOBIのように個々のアーティスト単位では、海外もターゲットとして成功事例が出てきているものの、業界全体としては取り組みが進んでいるとは言えない状況だとも指摘されています。

鈴木:K-POPが業界全体として断続的にヒットを生み出している状況は、国としても意識しているところだと感じています。日本のアニメやゲームは既に世界で人気を博していますが、音楽の分野ではそれがどのように起こり、どのように再現することが可能なのか? そこに課題があるのであれば、どう解決したら良いのか、という点を、今回のレポートではある程度示せたのではないかと思います。