振動が減ってうれしいのは
人間ではなく……

F:プロペラの角度が変わるのは、4枚でも8枚でも同じですか?

坂:はい。両方とも可変ピッチプロペラです。8枚の方が電子制御でより緻密なコントロールができるようになりました。振動が減ったと言いましたが、正直な話、体感的にはそれほど大きくは変わっていません。

F:なぜプロペラ式を使用するのですか?ジェットの方が速く飛べませんか?

坂:ジェット機は速度が速いですが、燃費を考えた時にはプロペラ機の方がいいです。早期警戒機の役目では、速度よりも滞空時間の方が重視されます。それでこの飛行機が選ばれたのです。対象の空域に可能な限り長く留まりたいですからね。

空を飛ぶ4枚プロペラのE-2C空を飛ぶE-2C。写真は4枚プロペラの機体(提供:航空自衛隊)

E-2Cの翼が
折りたためる理由

F:なるほど。長く飛んでいたい。翼が折れるのはなぜですか?

E-2Cの折りたたんだ翼の付け根部分E-2Cの折りたたんだ翼の付け根部分。大きな閂(かんぬき、Wing Lock Pin)が4本見える。翼が開かれると、この閂が下りてしっかりと固定される仕組み Photo by F.Y.
翼部分。閂を受けるための受座が見られる翼部分。閂を受けるための受座が見られる Photo by F.Y.

坂:もともとE-2Cは空母に載せることが前提で開発された艦載機です。空母のエレベーターに載せられるよう、翼が折り畳めるようになっています。尾翼が低いのもそのためです。空母には横幅制限、高さ制限がありますからね。ただ低くするだけではヨーイングが発生してしまいますので、その分枚数を増やしています。この後ろの部分を見てください。カギ状の大きなフックがあるでしょう。これが空母に着艦する時に使う着艦フックです。空母に降りる時は、これを下げて艦上に張られたワイヤーに引っ掛けて停止します。

高さの低い垂直尾翼が計4枚。水平尾翼の左右両端と中央に配置されている高さの低い垂直尾翼が計4枚。水平尾翼の左右両端と中央に配置されている Photo by F.Y.
空母に着艦する際に使用する「着艦フック」空母に着艦する際に使用する「着艦フック」 Photo by F.Y.