「仕事を“なるはや”で頼まれたときの反応で、仕事ができる人かどうかがわかります」
そう語るのは、転職エージェント「キープレイヤーズ」代表の高野秀敏さん。1.1万人以上のキャリア相談、4000社以上の採用支援の経験を持つヘッドハンターであり、「現場」と「経営者」の両方の視点で、「圧倒的に活躍する人たち」と関わってきました。
その高野さんがベンチャー流の「結果を出す働き方」をまとめた書籍『ベンチャーの作法』が刊行。“きれいごと”抜きの仕事論に、「若手のときに知りたかった!」「現代のビジネスパーソンの必読書だ!」とたちまち話題に。SNSでも多数の感想が投稿されるなど異例の反響となっています。この記事では、本書より一部を抜粋・編集し、「“なるはや”で頼まれた仕事の対処術」をお伝えします。
「なるはや」で頼まれる仕事
「なるはやで頼むよ」
経営者や上司が部下に対して使うキラーフレーズです。
「なるべく早く」でお願いする、要するに今のあらゆる業務よりも、この依頼を優先してほしいという意味です。
こういう無茶振りも、若いうちはできるだけ引き受けたほうがいいとは思います。
受けきれないくらい仕事を受けて、初めて自分の許容量がわかってくるからです。
「安請け合い」をしない
とはいえ、なんでも「なるはや」で受けていたらパンクしてしまいます。
ベンチャーは仕事がいくらでも湧いてくる環境です。
責任感の強さから、とっくに限界を迎えているのに言い出せず、無理を続けているうちに会社に行けなくなってしまったという人もいます。
これでは結果を出すどころか、本人と会社、両者にとって大きな損失になります。
仕事で結果を出す人は、安請け合いをしません。
依頼者が求めているのは「良い結果を出すこと」であって「とりあえず引き受ける」ことではないとわかっているからです。
そのため、今抱えている仕事の状況を踏まえて適度に抵抗します。
たとえば「3日もらえればできます」と、可能なラインを示す。他の仕事を説明して「この仕事の優先順位を変えればできますが、どうしましょうか」と判断を仰ぐなどします。
仕事の「優先順位」を自分で決めない
ポイントは、相手に判断を委ねることです。
すると相手の脳内にも別の選択肢が浮かびます。
「そんなに忙しいなら他の人に頼もう」
「3日後に仕上げてもらえるなら、それでもいいか」
「その仕事よりもこちらの仕事を優先してほしいから、今やっている仕事の依頼者に相談してみよう」
調整まであなたが引き受ける必要はありません。
仕事の依頼者に「適切に仕事を割り振る」という仕事をちゃんとさせましょう。
「反論」ではなく「対話」する
「これ、やる意味あるんですか」と返すのは、反論です。
ですが「こうすればできますが、どうでしょう?」と返すのは対話です。
経営者から指示を受けたら、とりあえず行動することは大切です。
ですがそれは、自分を犠牲にしろということではありません。
「私が無理をすれば、なんとかなるかな?」
そう考えてしまいがちですが、選択肢はそれだけではないのです。
(本稿は、書籍『ベンチャーの作法』の内容を一部抜粋・編集して作成した記事です)