例えば、議事録作成においては、会議中の話し言葉をリアルタイムでテキスト化し、重要なポイントを自動で抽出することで、従来必要だった手作業を大幅に削減できる。また、アイデア創出では、既存のデータやデータ分析から得られるトレンドを基に新しいコンセプトを瞬時にいくらでも(なかには噴飯ものも多いが)提案してくれるため、従来の枠を超える発想を獲得することができる。

 生成AIがもたらすこれらのメリットはすでに使用している人にとっては明らかだが、その一方で情報漏えいのリスクや、AIによる創造物のオリジナリティーと精度を巡る懸念も存在する。

 特に情報のセキュリティーに関しては、企業の取り組み方によって大きな差が生じており、AIの安全な使用を保証する体制が問われている。こうしたことから、デメリットを重視し、その利用に慎重な企業も多い。

 また、技術への抵抗感からAIの導入を躊躇(ちゅうちょ)する企業や人も少なくない。これは従来の方法に慣れ親しんでいる従業員の間で特に顕著であり、新しい技術への教育と理解を深めることが急務である。

 生成AIを積極的に採り入れる企業は、作業のスピードとクオリティーの向上を実現し、競争力を高めていくだろう。2025年以降、生成AIの活用度合いは、企業の市場における立ち位置を決定する重要な要素となり得る。

(3)人手不足はさらに深刻に
ロボティクス導入が鍵

 第三は、ほぼ全産業における人手不足の深刻化である。特に建設、物流、医療そしてサービス業界では、労働力の需給バランスが悪く、企業の運営に直接的な影響を及ぼしている状況にある。

 建設業界では、高齢化に伴う現役世代の退職や建設労働者の不足が進行中だ。これにより、新たな建設プロジェクトの遅延が頻発し、コストの増大が問題となっている。

 また、運輸業界ではドライバー不足が特に深刻で、配送遅延が経済全体に悪影響を及ぼすリスクが高まっている。

 さらに、サービス業では特に小売や飲食業が打撃を受けており、十分なスタッフが確保できないために営業時間の短縮や一部サービスの提供停止を余儀なくされている。これらの業界においては、人材不足による業務の質の低下が、消費者満足度の低下を招いている。