多くの企業では、ロボティクスの導入と革新によって新たな解決策を模索している。例えば、建築業界では、精密な作業を行うロボットアームが設計図通りに素早く材料をカットし、組み立てることで、人手不足による遅延を解消し、コスト削減にも寄与している。また3Dプリンターによる工事などにも取り組んでいる。

 サービス業では、顧客対応ロボットが注文受付や案内業務を行うことで、スタッフの負担を軽減し、サービス品質の一貫性を保持している。これにより、人材が不足する中でも顧客満足度を維持し、さらに向上させることが可能になっている。

 一般的には、ロボットの導入は一部で労働者の雇用に影響を与える可能性があり、大きな反対を受けやすいが、現状の日本においては、大きな問題となることはないだろう。したがって、ロボティクスの導入は、人手不足という課題を解決するだけでなく、ロボットと共存する新しい社会モデルを創造することになり、これが日本の未来を明るく照らす希望の光となるはずだ。

(4)ハラスメントリスクに管理職は戦々恐々
企業文化の改革が重要

 第四は、組織内のハラスメント過敏症である。

 パワーハラスメント、セクシュアルハラスメント、マタニティーハラスメントなど、多様な形でハラスメントが発生しており、これらがいまや企業にとって大きな問題となっているだけでなく、これらのハラスメント行為をしたと言われないように多くの人がびくびくしているという状況が生まれている。

 実際に、内部通報においてはその多くの報告がハラスメント関連の事案であるとされ、特に管理職層はその対応に神経を尖らせている。しかしながら、管理職や一般社員がハラスメントをどれだけ理解しているかについては、会社ごとに大きなばらつきがあり、一般的には十分な教育がなされているとは言えない。

 例えば、厚生労働省が提示しているパワハラの六類型――身体的攻撃、精神的攻撃、人間関係からの切り離し、過大な要求、過小な要求、個の侵害――を認識している人は、私の知る限りでは、組織の半数を超えることはない。

 定期的な研修を実施し、全ての従業員がハラスメントの定義とその具体例を理解し、皆で注意し合って問題行動が起こらないような組織を作ることが必要である。また、内部通報システムを強化し、従業員が安心して問題を報告できる環境を整えることも重要だ。

 そして、職場のハラスメント問題に真摯に向き合い、全員が尊重され安全な環境で働けるよう、企業文化そのものを改革する努力が求められる。これは、ただ単に法的な責任を避けるためだけではなく、従業員の幸福と生産性の向上を目指すための、絶対に必要なステップである。