「リモートか出社か」への取り組み方が転職先を選ぶ重要な判断材料となる理由転職する人の立場からすると、リモートか出社かの問題にどう取り組んでいるかは企業を選ぶ上で、重要な判断材料になり得る(写真はイメージです) Photo:PIXTA

リモートワークの推進から一転、
オフィス出社に回帰する企業も

 新型コロナ感染拡大のポジティブな側面を考えると、リモートワークの急速な普及で時間と場所を選ばず、いつでもどこでも仕事ができるようになったことが挙げられます。

 これにより人々の働き方、会社の働かせ方が大きく変化するといわれてきましたが、現状はどのようになっていて、今後はどんな方向に進んでいくでしょうか。

 いつでもどこでも働ける勤務体系を推進している会社の一つにヤフーがあります。同社は自社の取り組みでどんな変化が起こったか、8月30日にプレスリリースを出しています。

 これによると4月に社員一人ひとりのニーズに合わせて働く場所や環境を選択できる人事制度「どこでもオフィス」を導入したところ、東京オフィス所属社員のうち約400人が1都3県以外の地域へ転居するとともに、中途採用の応募者数が前年と比べ1.6倍に増加したそうです。また、1都3県以外の地域からの採用応募者数が、月ごとに増加しているとしています。

 一方、いままでリモートワークを実施してきた企業が、オフィス回帰の姿勢を強めるケースも見られます。ホンダが原則出社に切り替えたほか、楽天グループは出社日を週3日から週4日に増やしました。

 日本だけではなくより柔軟な働き方で先行していると思われた米国でも、テスラのイーロン・マスクCEOが「社員は1週間に最低40時間はオフィスで過ごすことが義務付けられている」とメールを送り物議を醸したのは記憶に新しいですし、アマゾンやマイクロソフト、アルファベットは週に2~3日の出社を義務付けるようになっています。

 いわば、これまでの揺り戻しのような動きが起こっています。

 リモートワークを廃止、あるいは縮小している企業は多くの場合、生産性の問題や何らかの不具合が発生し「やはり出社が必要である」との判断に至ったと思われます。業務の内容や企業文化によっては、同じオフィスで直接コミュニケーションを取りながら仕事を進めたほうがずっと効率がよく、成果が出やすい場合もあるわけです。