新年の幕開けの初詣はどこにするか

 大晦日に除夜の鐘を聞いた足でそのまま初詣へ向かい、新年の幕開けを祝いましょう。四条大橋を東に渡り、総本家にしんそば松葉で年越しのにしんそばをいただいて身体を温めてから、知恩院で除夜の鐘を聞き、すぐ南の円山公園で空に瞬く星空を眺めた後、近くの八坂神社へ向かうのがベストコースです。

をけら詣り八坂神社(東山区)の「をけら詣り」

 八坂神社では、大晦日の夜から元日未明にかけて「吉兆縄」と称する火縄に「をけら火」を授かって帰る風習が受け継がれています。をけら火には、魔よけの意味が込められており、火のついた吉兆縄をくるくると回しながら家に持ち帰り、おくどさん(かまど)に火を移します。その火で正月のお雑煮を炊いていただき、新年を祝うことで、向こう一年間の無病息災を願うのです。

 とはいえ、をけら火を灯した吉兆縄を持ったままバスやタクシーには乗れませんので、八坂神社から徒歩圏内に自宅のある人でなければ持ち帰るのは困難。キッチン付きのゲストハウスやホテルも、今は防火のためガスコンロではなくIHが主流です。

 ということで、火を持ち帰れない人は、をけら火を授かった後に火を消して、吉兆縄だけ持ち帰りましょう。玄関などに置いておけば、魔よけや厄よけのご利益を授かれますよ。

 さて、京都での初詣はどこへ参りましょうか。警察庁が15年前に三が日の参拝客数の発表をやめたため、最近の人数は不明ですが、参拝客が多いと思われる寺社は、伏見稲荷大社(伏見区)を筆頭に、八坂神社(東山区)、北野天満宮(上京区)、松尾大社(西京区)、平安神宮(左京区)、下鴨神社(左京区)などです。

 旅行専門サイト「トリップアドバイザー」による「外国人に人気の日本の観光スポット」ランキングで、2014年から5年連続1位に輝いて以降、年間を通してインバウンドの観光客でにぎわうようになりました。京阪本線「伏見稲荷」・JR奈良線「稲荷」駅からすぐというアクセスの便利さもあって、参道も裏参道も大賑わいです。稲荷さんだけあって、ご利益は「商売繁昌」ですから、新しい年の幕開けにはぜひとも手を合わせておきたいところです。第37回でご紹介した、干支の「巳」をまつるお寺や神社と併せて一年間の幸せを願えば、ご利益も倍増しそうですね。