除夜の鐘を自分で撞いてみる

高台寺豊臣秀吉ゆかりの「高台寺」(東山区)から眺める東山。夜はひときわ風情が増す

 知恩院の鐘は、大きさもさることながら、その撞き方も他に類を見ないもの。総勢17人の僧侶が力を合わせて鐘を撞くのです。1人が親綱を、その他16人がそれぞれ子(小)綱を握りしめ、「えーいひとーつ」「そーれ」の掛け声の下、全身全霊、一打一打、鐘を打ち鳴らします。親綱を持った僧侶は、撞く間際にくるりと後ろを向き、親綱に全体重を預けて体当たりでもするかのような迫力で鐘に向かって背面飛びをします。

 17人が心を合わせなければなりませんので、ぶっつけ本番はさすがに不可能。予行練習として、27日に恒例の「試し撞き」が行われ、一般の人もその様子を見学することができます。

 知恩院の除夜の鐘を聞きに行くには、ディズニーランドやUSJのアトラクションに並ぶ以上の覚悟が必要。鐘を撞き始めるのは午後10時40分からですが、2時間前の午後8時半に三門から少し北の黒門が開かれ、係員の誘導に従って除夜の鐘のある鐘楼まで歩みを進めていくことになります。

 開門時間のかなり前から行列が予想されますし、キャパオーバーの場合は早めに閉門されてしまいますのでご注意を。知恩院の境内は山際にあるため足元から冷えます。暖かいコートはもちろんのこと、足元の防寒にも気をつけて。温かい飲み物を入れた水筒やカイロを携帯し、万全の体制で挑みましょう。

 さて、僧侶が打ち鳴らす除夜の鐘の音色を聞くだけでなく、自分自身で撞くことのできるお寺もあります。まずは、第6回でご紹介した世界遺産平等院(宇治市)からご紹介しましょう。平等院の梵鐘は、平安時代を代表する貴重なもので、三井寺(滋賀・大津市)の「声の園城寺鐘」、神護寺(右京区)の「銘の神護寺鐘」(あるいは奈良・東大寺の「勢の東大寺鐘」)と並んで「日本三名鐘」の一つに数えられています。

 国宝につき、実物は平等院境内の「ミュージアム鳳翔館」に収蔵されていますので、現役で活躍する鐘は別のものですが、天下の名鐘に思いをはせながら撞くのも乙なものです。

 平等院の「大晦日除夜会」は、午後11時半から。初めに僧侶が鐘を撞き、続いて一般の参拝者が5~6人一組で一緒に撞きます。無料で参加できるうえ、先着1000人まで絵馬が授かれますので、別のご利益も期待できそうです。この時間、鳳凰堂や鳳翔館など通常拝観はありませんので、鳳翔館にある梵鐘はまた別の機会にご覧ください。

 先日、「26年の大河ドラマは『豊臣兄弟!』に決定!」というニュースもありました。いずれ訪れる“豊臣ブーム”に先駆けて、秀吉にゆかりの深い高台寺で除夜の鐘を撞くのもいいでしょう。北政所ねねが、秀吉亡き後に菩提を弔って創建した高台寺では、午後11時45分ごろから1グループにつき1回撞くことができます。事前予約不要ですが、たくさんの参拝者が見込まれますので、午後10時より先着108組に配られる整理券が必要です。

 その他、京都市内のさまざまなお寺で除夜の鐘を撞くことができますので、京都市観光協会の公式サイトに掲載のリストをご確認の上お出かけください。