うどんを「800回」こねたらどうなるか?
うどんづくりは、作業が一定で同じことを繰り返しているのだから簡単だと思う人もいるかもしれないが、実は相当に奥深いプロセスの熟知が必要だ。
千葉大学教育学部の「手打ちうどん作りの教材と内容に関する一考察」(2012年)という研究論文によれば、うどんをこねる回数を200回、400回、800回と設定して、「噛みごたえ」「コシ」「のどごし」など7項目を評価したところ、800回こねたうどんは「粘り」「コシの強さ」「好ましさ」の評価が高まり、特に「コシ」が強化された。
「伸びやかな中に硬さがある」と評価され、より良い結果が得られたという。800回もこねないと美味しくならないというのは、本当に驚きだ。ただし、こねすぎると生地が硬くなり、食感が悪化する場合がある。初心者にとって回数の加減を見極めるのは難しい。
うどんづくりは、簡単に見えて多くの困難を伴う作業である。最も大きな課題は生地を適切にこねる工程である。
こねた後でも、生地を均一に伸ばし、均等な太さに切る必要があるが、初心者には難しい。切り終わった後、麺を一本一本きちんと分離しなければならない。作業を怠ると切り口からグルテンが再形成され、麺同士がくっついてしまう。
材料の選択も課題の一つである。中力粉が最適とされるが、初心者の場合、こねる力が十分でないため、強力粉と薄力粉を混ぜた粉がより扱いやすい。が、配合比率を正確に調整するのも初心者には負担となる。
丸亀製麺の麺職人制度は、職人技を重視し、高品質なうどんを提供するために2016年に導入された制度である。全店舗で行う自家製麺の技術をマニュアル化せず、気温や湿度、材料の状態に応じた微調整を必要とする熟練の技術を伝承する仕組みである。