A 例えば、IT長者と呼ばれるような方は、突然大金を手に入れることになるのでお金持ちがどのようにお金を使うのかがわからないはずです。だから、知り合いの経営者と同じものやそれ以上のものが欲しいといった自己顕示欲を満たすことにお金を使いがちです。
個人差はありますが、代々お金持ちの家の人は「自分が継いできたものを継がせなきゃいけない」という感覚が強いです。一方、一代で財を成した人は自分が亡くなった後のことまで考えられていない気がします。今手に入れたお金で、もっとステップアップしなければといったビジネス寄りの思考をする方が多いです。
Bさんはどちらのタイプの資産家が付き合いやすいとかありますか。
B いやぁ、どちらが付き合いやすいといったことはないですね。求められる役割が変わるので、粛々とそれに応じるだけというか……。まだまだ資産を増やしたいという人であれば、シンプルに増やすためのサポートを提供しますし、増やす必要はない、守りたいという人には、そのニーズに応えるまでかなと。
A 自分は圧倒的に守る方がやりやすいんです。プライベートバンカーは、富裕層から信頼を獲得する必要があります。その際に重要なのが価値観の共有です。価値観が合わないと、そもそも任命されない仕事でもあります。なので、お金を派手に使う富裕層の価値観に自分を合わせるのが難しいんです。
それに、そうした人たちの価値観は、お金を使うごとにコロコロと変わります。よく言えばスピード感があるのですが、あるものが欲しいと頼まれて調べていると、もうそれは欲しくないといったことがありましたね。
B やりたいことはすぐにやるという感じの好奇心旺盛で行動が早い富裕層は、案外落ち着いたプライベートバンカーを選ぶことが多くないですか? その逆も然りで、自分と同じタイプの人間を選ばない傾向があります。夫婦と似ていて、相互補完的な関係性を求めるのかなと推察しています。
A 派手なモデルみたいな女性と付き合ってたような人が、結婚するときは堅実な人を選ぶみたいな(笑)。プライベートバンカーは、富裕層のパートナーという側面が強いからでしょうね。