タワマンの屋上に雑草がボーボー!電通マンが「命綱必須」の草むしりに挑んだワケ写真はイメージです Photo:PIXTA

街を見下ろし、広がる空、場所によっては海までも見渡せる。タワーマンションと言えば、眺望のよさが大きな持ち味だ。屋上に上がれば、さらにそれが味わえるはず。管理組合の理事長を押しつけられてしまった電通マンが、自身の「仕事」ぶりをお伝えする。※本稿は、竹中信勝『タワマン理事長 - ある電通マンの記録』(ワニブックス)の一部を抜粋・編集したものです。

ヘリポートがある屋上に
茂る雑草をなんとかせねば

 管理会社に管理を依頼している我がマンション。エントランスの床が汚れたらきれいにしてくれるし、ドアが故障したら修理してくれるし、なんでも管理人がやってくれます。

 いつもの流れでマンション敷地内の草むしりもお願いしたところ、やってくれませんでした。急にシビアな線引き。ひどい管理会社だと思われるかもしれませんが、管理会社は契約外の仕事はやってくれません。追加の費用を払えばもちろん対応してくれますが、清掃などは基本的に管理会社から外注した業者が行っているので、費用が発生するのです。

 ことの発端は、管理人に「理事長、屋上に草が生えていて、何とかしないと将来漏水の原因になりますよ」と言われたことです。それまで屋上になど行ったことがなく、そこに草が生えているなんて想像もしていませんでした。タワマンの屋上には非常用のヘリポートがあり、普段は鍵がかかっている場所で、一般の住民が気軽に近づくことはできない場所です。管理人の案内で初めて屋上に上がってみると、雑草がかなり密集して生えていました。そこでふと、甦ってきた昔の記憶……。

タワマン理事長の鑑?
みずから屋上の草むしり

 私は電通社会貢献部の活動で富士山の樹海に行き、エコツアーインストラクターをしていたことがあります。そのとき、「なぜ、土のない樹海に植物が生えているのか?」について、「植物の種は風に運ばれて飛んできたり、鳥の排泄物に混じって運ばれたりして移動します。その種が苔などの水分を使って生えてくるのです」と子どもたちに教えていました。それがまさに私の住むタワマンの屋上で起き、目の前に雑草地が広がっていました。

 タワマンの屋上にはもちろん土はありませんが、溜まった雨水や、落ち葉や鳥の糞、虫の死骸などが堆積したところに根を生やして、コンクリートの間にどんどん入り込んでいくのです。雑草が生えたコンクリートにはたくさんの亀裂ができ、建物を傷める原因になると聞いて震えました。