寝不足で集中できず
仕事に追われる悪循環

 休むこととセットであるのが、寝ることです。睡眠は、やっぱり大事です。

 長時間労働が脳血管疾患や心臓疾患のリスクを上げるように、睡眠不足がそれらの病気のリスクを上げること、さらにはそれらの病気による死亡リスクを上げることも、国内外のさまざまな研究で報告されています。

 そもそも、睡眠時間が足りないと、翌朝、気持ちが悪くなったり、だるかったりしますよね。頭もスッキリしません。

 クリニックに相談にいらっしゃる方のなかには、「12時には布団に入るのですが、ぐるぐると仕事のことを考えちゃって、2時、3時まで眠れないんです」「朝が来るのが怖くて、いつも3時ぐらいまでだらだら起きていて、途中で寝落ちして朝を迎えるんです……」などと、睡眠のことで悩んでいる方はとても多いです。

 寝る時間はあるのに考え事をして眠れない。ぐるぐると思考が止まらず、寝ても眠りが浅く、夜通し浅い夢を見ていて、疲れが取れない――。

 そうした状態で仕事に行っても、パフォーマンスは上がりません。睡眠不足のせいで仕事がはかどらないためにタスクが終わらず、さらに仕事に追われるようになる……と悪循環に陥りかねません。

 その悪循環を断ち切るために「まずは睡眠を整えましょう」と、よく患者さんに提案しています。その際、睡眠薬を使うことも決して悪い方法ではありません。

今の時代の睡眠薬なら
クセになることはない

 睡眠薬に対して、「クセになりそうで怖い」「ないと眠れなくなって、手放せなくなりそう」などとマイナスのイメージを持っている方もいるでしょう。でも、それはひと昔前の睡眠薬のイメージなのです。

 少し前まで広く使われていた睡眠薬は、ベンゾ(ベンゾジアゼピン)系や非ベンゾ系と呼ばれ、脳の活動を抑えることで眠りやすくする薬でした。そうした睡眠薬の場合、確かに依存性があり、問題になっていました。