一方でネガティブな面としては、総合商社ならではの文化が合わない可能性があることが挙げられます。

 良い面でもありますが、収入が高くブランドのある業界だからこそ、転職を決断する方はあまり多くはなく、結果として組織が硬直している企業も少なくありません。ある企業では、その企業の文化と合わないために、中途入社者の離職率が高く、リファラルやカムバック採用、同業界採用をメインとしていくという話があるほどです。

 人がその企業に定着する要素として社風や文化は間違いなく影響しますが、中途採用の場合は新卒採用と異なりカルチャーを知る機会が限られるため、この落とし穴は認識しておく必要があるでしょう。

デベロッパー業界
2つの魅力と1つのリスク

 デベロッパーに関しても、ポジティブな要素は2つあります。

 1つは、社会にインパクトを与えている実感を得やすいことです。基本的に、BtoB企業であれば、なかなか自分の仕事が一般の人に伝わることはありませんし、BtoC企業であっても、メーカーで商品企画に関われる方はごく一部であり、サービス業では社会へのインパクトというよりは目の前の人への貢献実感の方が強いことでしょう。

 ただ、デベロッパーであれば、仕入れた土地を用いて何を生み出すのか、企画の段階から携わっている方が比較的多く、当事者として街づくりができているという感覚は他の仕事にはないやりがいにつながるといえます。

 そして2つ目は、プロジェクトワークの力が高い次元で身につくことにあります。数ある業界の中でも官公庁に並び、デベロッパーはステークホルダーの数が多く、かつプロジェクトの期間も長いため、かなりタフなコミュニケーションが必要とされます。

 キャリア支援をしていく中で痛感することではあるのですが、30年、40年、その企業にい続ける決断をすることは並大抵ではありません。その主な理由の一つには、同じ業務は飽きやすいということがあると感じています。