予想に反して、ロシア経済は戦争を乗り切っている。経済面で差し迫った次の嵐は和平だ。ウクライナ紛争の間中ずっと、政府の巨額な軍事支出がロシアの生産を支え、西側諸国から科された制裁の影響を弱めてきた。兵器工場は増産し、衣料品ブランドからパン屋までがそろって目出し帽やドローンを生産するために設備を一新した。こうした変革によって、ロシアの経済は雇用・賃金・成長を戦争に依存するようになった。ドナルド・トランプ米大統領が推し進めている和平合意によってロシア経済を軍事的な支えから切り離すことは、ロシア政府には経済的なリスクだ。戦時体制から後退すれば、ロシア経済は非常に危険な状況に置かれると、エコノミストらはみている。3年にわたる戦闘で劣化したロシア経済は、根強いインフレや労働力不足に直面し、戦争以外には成長の手段がほとんどない状況にある。