ティム・クック氏と彼が信じる「長い時間の弧」がまたもや勝利を収めた。トランプ米政権は11日夜、アップルのスマートフォン「iPhone(アイフォーン)」について、ホワイトハウスが最近エスカレートさせている対中貿易戦争による措置の対象外だと、目立たない形で発表した。この1週間余り、アップルは存亡に関わる不安が生じていた。中国製の物品に極めて高率の関税を課すことで、iPhoneの組み立てが米国内の工場にシフトするとトランプ政権当局者が主張したことを受け、同社の時価総額は一時8000億ドル(約115兆円)近く消失した。だが、トランプ氏はまたも折れた。2人は別のゲームをしているように思われる。トランプ氏は、世論の支持を測る上で同氏が頼る尺度である株式・債券相場の急落によって、後退を強いられた。一方のクック氏は「長い時間の弧」に目を向けた。投資家や顧客は常にアップルの次の一手を求めており、ほとんど忍耐力を持たず、四半期ごとに同社の最高経営責任者(CEO)であるクック氏を評価するような世界では頼りになる指針だ。