というのも若者が新NISAでどこに資産を移したのかを見ると、2大人気となっているのがオルカンと呼ばれる世界株式に投資をする投資信託か、アメリカ株のS&P500に投資をする投資信託です。簡単に言えば新NISAで増加した投資は日本ではなく世界に向かっているのです。

 そこで金融庁が高齢者に目をつけたと考えたらどうでしょうか?

 人気のオルカンにしてもS&P500にしても、10年スパンの長期投資なら一定のリターンが期待できる金融商品です。実際、過去5年の成績はたいしたもので、投信のオルカンは2.8倍(年利換算で約23%)、S&P500は3.1倍(同約25%)と信じられないハイペースで財産を増やしています。

 しかし足元のトランプ関税の混乱とAI投資が一巡した影響でこれからの2年、これまでの反動もあってこれらのインデックス投資がマイナスに転じるリスクがあると思います。

 こういった時期は投資家にとっては債権や不動産へも投資するバランス型ファンドのほうが乗り越えやすいものだと、古典的なファンド理論は教えます。ここが着眼点ではないでしょうか?

 若者に人気のファンドは株価下落のリスクに加えて為替リスクも抱えています。その資産が目に見えて減ってくれば、資産分散型ファンドが注目されるようになるはずです。たとえば、先ほど挙げた6資産分散投信なら、投資資金の半分は日本の株、債券、不動産に投資されることになります。日本政府にとっては都合がいい投資環境です。

「高齢者向けNISA」で損しないための3ルール

 さて、今回新設されるプラチナNISA制度では、高齢者に人気のある、運用益を毎月払い出す「毎月分配型」の投資信託商品を高齢者限定でNISAの対象に加える方針だということです。年金生活の高齢者から見れば、毎月分配金が払い出されるなら生活が安心ですし、その分配金に20%の税金がかからないのはさらに魅力に感じるかもしれません。

 ではもしあなたが仮に高齢者の父母から、「預金からプラチナNISAに老後資金を移して、投資を始めてみたいんだけどどうかな?」と相談されたとします。どうアドバイスしたらいいでしょう?