ドナルド・トランプ米大統領は、連邦準備制度理事会(FRB)のジェローム・パウエル議長が関税による打撃を和らげるために利下げしなければ同氏を解任すると脅している。問題は二つある。一つは、来年の任期終了前にパウエル氏を解任する法的権限が大統領にあるかどうかだ。もう一つは、トランプ氏が仕掛けた貿易戦争により、利下げのハードルが上がったことだ。FRBは、景気の下支えに動けばインフレを悪化させかねないと懸念している。この緊張状態により、両氏は衝突必至の状況にあり、それを回避するのは容易ではない。トランプ氏が関税で譲歩するか、米経済が輸入関税の重荷で崩れる兆候を示すまで、そうした状況は続くだろう。「FRB議長がこれほど複雑な状況に直面したことはない」。2005年から25年1月まで下院議員(共和党)を務め、過去2年間は下院金融サービス委員長を務めたパトリック・マクヘンリー氏はそう述べた。
トランプ氏とFRB議長、衝突は必至か
トランプ氏は利下げを望むが、貿易戦争の影響でパウエル氏は身動き取れず
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