青もみじのトンネル今熊野観音寺(東山区)の参道。青もみじのトンネルをくぐって境内へ

一年で最も華やぐ桜が散り、初夏の花を楽しむ頃は、新緑まぶしい季節でもあります。爽やかな風を感じながら、京都の青もみじを訪ね歩いてみましょう。まずは一押しの絶景スポットと東山の奥座敷を訪れます。(らくたび、ダイヤモンド・ライフ編集部)

東山で青もみじとご利益に浸る

 青々と芽吹くもみじの葉。どこで見ても爽やかさは同じなのに、京都で見ると格別なのはなぜなのでしょう。今の時期の葉色は、まるで発光でもしているかのような黄緑の蛍光色。陽の光に透ける様は、神々しさすら感じられます。桜や紅葉に集中しがちなオーバーツーリズムの観点からも、近年推奨されている「青もみじ」めぐり。人気も年々高まっています。緑色には、リラックス効果や癒やし効果が期待できるといわれていますので、五月病から回復するためにも、この時期の京都を旅するテーマにおすすめしたいところです。

 2回連続でお届けする京都の青もみじ散歩、今回は東山を歩きましょう。JR「京都」駅から奈良線で1駅目の「東福寺」駅で降り、大通りの東大路通を北上、泉涌寺道の交差点で右に折れて坂を上がり、「御寺(みてら)」と呼ばれる泉涌寺の山内へと参りましょう。総門をくぐると、参道の両脇に生い茂る木々が直射日光をさえぎるため、気温の高い日でも涼しく感じられます。

 駅から歩き始めて十数分、今熊野観音寺へいざなう立て看板が現れます。この付近は「歴史的風土特別保存地区」に指定され景観が守られており、喧騒とは無縁の静けさに包まれています。青もみじに覆われた朱塗りの鳥居橋を渡り、境内へと向かいましょう。

 平安初期に弘法大師空海がこの地に建てた庵が起源となる今熊野観音寺は、西国三十三所第十五番札所として信仰を集めています。子どもの健やかな成長、交通安全や学業成就などのご利益を授けてくれるという子まもり大師像に迎えられて石段を上がると、本堂や大師堂が立つ境内の中心に。古色蒼然とした諸堂に寄り添う青もみじ。見上げても見下ろしても、視界を覆い尽くす青もみじが体感できます。

ぼけ封じ観音開創の弘法大師をおまつりする大師堂。手前の立像は「ぼけ封じ観音」

 ご本尊の十一面観世音菩薩は、ぼけ封じや頭痛封じのご利益を授けてくれる“頭の観音様”。心を込めてお参りした後は、授与所をのぞいてみましょう。智恵授け、学業成就、ぼけ封じなど頭を守ってくれるご祈祷済み「枕宝布(まくらカバー)」や、今熊野の名にちなんだ絵馬ならぬ「絵熊(えぐま)」や「いまくまもり」など、ユニークなご利益アイテムがそろいます。

今熊野観音寺の授与品今熊野観音寺の授与品。写真左「絵熊(えぐま)」、右上「こぐまもり」、右下「いまくまもり」
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