王道の青もみじ名所「東福寺」へ

今回の青もみじ散歩はJR奈良線・京阪本線「東福寺」駅周辺ですので、駅前の寿司店「いづ松」でランチはいかがでしょう。京名物「鯖寿司」の発祥として知られる祇園「いづう」の暖簾分けですので、味の良さは折り紙付きです。
泉涌寺山内の南側には、臨済宗東福寺派の大本山東福寺とその塔頭(たっちゅう)寺院があります。どちらを先に歩くかはともかく、東山で青もみじを堪能するなら、いずれも欠かすことはできません。
公家・九条家の菩提寺として鎌倉時代の1236(嘉禎2)年に開かれた東福寺。日下門へ続く参道の途中、渓谷「洗玉澗(せんぎょくかん)」には3つの橋が架かっています。おすすめは、折り重なる青もみじの向こうに通天橋を望む絶景スポットの臥雲橋(がうんきょう)です。
京都の青もみじでナンバーワンとの呼び名も高い通天橋は有料となります。橋の上からの眺望はもちろんのこと、橋を渡り切った後にはせせらぎの音をBGMに起伏のある渓谷をそぞろ歩きながらの青もみじ尽くしが楽しめます。もう一つ、一番上流にある重要文化財の偃月橋(えんげつきょう)と東福寺の三橋を渡り比べてみるのも一興です。
通天橋の後には、「永遠のモダン」を追い求めた昭和のカリスマ作庭家・重森三玲による「国指定名勝 東福寺本坊庭園」へ。苔と石を市松模様に仕立てた北庭や、東司(とうす。トイレです)の礎石をリサイクルして北斗七星に見立てた東庭など、他に類をみない斬新なアイデアにワクワクさせられる名庭です。
もう一つ、欠かせないお庭があります。六波羅門から南へ歩いて2分。「虹の苔寺」の異名を持つ東福寺塔頭光明院も忘れずに。室町時代の1391(明徳2)年創建で、主庭「波心庭」は、東福寺同様、重森三玲が手がけた枯山水庭園。大海を表す白砂の上に、3体の仏様に見立てた三尊石、立石を斜線上状に配しています。シャープな石組みとやわらかな青もみじの対比が印象的。5月初めにはツツジの鮮やかな色彩も加わります。円窓越しに青もみじを見られるお部屋もありますので、堂内をくまなく巡ってみてください。
