泉涌寺の別院「雲龍院」へ

今熊野観音寺から再び泉涌寺の参道へ。大門で右に折れてさらに4分ほど奥へと進むと、泉涌寺派の別格本山雲龍院に。室町時代の1372(応安5)年、北朝第4代後光厳天皇の命により創建されました。西国薬師霊場第四十番札所でもある東山の奥座敷です。境内には、サスペンスの女王であり、京都を愛した作家・山村美紗さんのお墓もあるとか。
まずは本堂の龍華殿へ。藤原時代の作と伝わるご本尊・薬師如来と脇侍の日光菩薩と月光菩薩の三尊にご挨拶を済ませたら、赤い毛氈(もうせん)と青もみじのコントラストが目にも鮮やかな大輪の間へ。庭園の青もみじは、木の根元近くから枝を広げているため、ボリュームたっぷり。風が吹くとさざ波が立つように青葉が揺れて、眺めているうちにいつしかウトウトと無我の境地……そんな心地よい時間が過ごせます。
窓のそばには「瞑想石」なる石も。椅子に座り、両足の土踏まずを石に乗せ、案内書きに従って呼吸を整えてみてください。歩き疲れて凝り固まった体がラクになりますので、ぜひお試しを。
同じく書院内の「蓮華の間」では、「しきしの景色」を楽しみましょう。雪見障子の四角い窓が、椿、灯篭、カエデ、松の4つの景色を切り取ります。竹筒に耳を当てて水琴窟の澄んだ音色を聴いたり、本堂の龍華殿で写経体験にチャレンジしてみたり…。静寂の中で心身共にほぐす時間を過ごしてください。