CX-80開発者インタビュー、気がついたら4回目でした
ダイヤモンド・オンラインに移籍して以来、開発者インタビューの記事はだいたい2回で終了している。
だが今回は特別だ。4回にも及んでしまった。
長く続いた理由はもちろんお話しいただいた量が多かったためで、通常のインタビューの倍近い時間がかかっている。更にその話の内容が非常に濃い。せっかく聞いたのに、文章化しないのはもったいない。インタビュイーの柴田さんが、突っ込んだ質問にも真正面に向き合い、真摯に回答してくださった。これが大きい。
それともう一つ。同席していた広報の方が(時折眉毛をピクピクさせながらも)「それはこういう意味です」「この部分だけは言い回しを変えてください。他社さんも関わることなので」と実にいい塩梅に合いの手を入れてくださったことも大きい。「あれはダメこれもダメ」と、「広報の仕事=検閲係」と心得ておられる会社も中にはあるのに、だ。マツダの広報は昔から心が広いのだ。
寛大なマツダの、ラージ商品群CX-80の開発者インタビュー最終回である。

フェルディナント・ヤマグチ(以下、F):いまさらなのですが確認事項として教えてください。マツダのラージ商品群のキモである、エンジン縦置きのFRレイアウト。これはなにがめでたいのですか。エンジン横置きのFFレイアウトと比較して、どこがどのように偉いのでしょう?
マツダ 商品開発本部 主査 柴田浩平さん(以下、柴):まず「駆動輪と操舵輪を分ける」というのが、クルマを走らせる基本的なお作法として有利であるということです。クルマは加速すると後ろに体重がかかる。後輪が駆動輪だと、物理的にエンジンの力を存分に引き出しやすい。あとは運転する楽しさです。「前後の荷重を使い分ける」という走らせ方ができますので。ただアクセル踏んで直線でバッと速い、というだけではなく、いかに荷重をかけてカーブを抜けるか……というような運転の楽しさを味わうことが可能です。縦置きのFRだからこそ、今回の500ニュートンを超えるようなトルクが出るエンジンを積んだクルマでもしっかり安定して走らせることができる。そういう走りのポテンシャルの高さがFRの魅力ですね。
F:すると、FFレイアウトのクルマに無理やり大馬力のエンジンを積んでしまうと……。
柴:結果として、まともに曲がらないクルマになってしまう。よくあるパターンです。だから大馬力のFFベースの車は四駆にするんです。前後輪にパワーを分散して、何とか曲がれるようにする。
F:それじゃFFのままでキチッと曲がるクルマに仕上げているシビックTypeRはかなり頑張っている?
柴:そうですね。昔からシビックはキチッとやっていますよね。