あの“白バイ音”は喜ぶべき音!?

F:音に関してもう一つ。街を走っていて減速する際、ATが4→3→2速とシフトダウンしていきますよね。その時に遠くで白バイが鳴らすような「ウゥー」という音が車内に響いてくるんです。オーディオを付けていれば気にならない程度の小さな音ですが、音楽を消して走っていると、「うわ。やられたか?」とドキッとするような音が明確にする。

柴:サイレン音が。

F:そうですそうです。白バイのサイレン音に似ています。そう呼んでいるのですか?

柴:恐らく内々で言っている事はあるだろうと思います。あれはモーターの音です。モーターの回生音。

F:回生音でしたか。するとハイブリッドだけに起きる現象ということですね。

柴:マイルドハイブリッドとプラグインハイブリッドの両方でする音です。エネルギーを回生している音。ディーゼル音同様に、世の中の回生音はどんどん静かになってきています。だからCX-80の音が気になったのかもしれません。今は本当に他社さんのクルマが静かになってきているので、我々ももう一つ頑張らないといけないと思っています。

F:あのサイレン音はエネルギー回生の音。すると、乗る側からすれば喜ぶべき音なんですか。チャリンチャリンと小銭が貯まっていく音。バッテリーに電気をためて、燃料をセーブしてくれている音なんだから(笑)。

柴:まあ、そうですね(笑)。我々はあの手の音を「機能音」と呼んでいるのですが、クルマがちゃんと仕事をしている音ではありますね。何かが異常を起こして発生している音ではないので。

F:ノイズキャンセリングは使わないのですか?

柴:ウチはやっていないですね。

F:今や多くの会社が使っていますよね。でも逆位相で臭い消しのように消すというやり方をマツダは選ばない。根本から消すのがマツダ流、という事ですか?

柴:いや、そういう意味ではありません。うまく使ってできるのなら、ノイキャンもアリかもしれません。

F:貼り物や詰め物で音を消すという方法もありますよね。

柴:もちろんそういう方法もありますが、どんどん重くなってしまいますよね。あれは物理量で決まりますので。やっぱり遮音は物理量なんですよ。