CX-80のエンジン音はなぜうるさい?
柴:FRのもう一つのメリットは、乗り心地と静寂性です。申し上げたようにFFは前輪が「操舵」と「駆動」の両方を受け持つので、どうしても振動やノイズが車内に伝わりやすくなる。FRはノイズや振動の伝達経路が分散して小さくなる。もちろん良いことばかりではありません。やっぱり部品点数が増えますから、重くなる。そして高くなる。

F:いま静寂性とおっしゃいましたが、今回のCX-80のディーゼルは、意外とエンジン音が大きいのに驚きました。初代CX-5のディーゼルに乗った時は、「これは間違いなく世界一静かなディーゼルだ」と大いに驚いたものですが、今回はその感動がない。むしろCX-5よりもディーゼル特有のガラガラ音は大きくなった気さえします。こちらは6気筒なのに、です。そんな声は他からもありませんでしたか?
柴:あります。
F:なぜでしょう。6気筒なのに。
柴:実際に出ている音としては、CX-5のディーゼルと比べたらこちらの方が明らかに静かです。ではなぜCX-5の方が静かに聞こえるのか。初代CX-5を出した頃は、世の中のディーゼルがまだそんなに成熟していなかったので、相対的に静かに聞こえたのだと思います。CX-5のディーゼルは、今やそんなに大騒ぎするほど静かではありません。
F:うーん。そうかなぁ……?
柴:ただ、他社さんのディーゼルは本当に良くなっている。我々が想定していたよりも、もっとずっと早いタイミングで静かになってきています。特に欧州車の進化がすごい。マツダはもう少し頑張らないといけないかな、と思います。CX-80に関して言えば、ちょっと低くて野太い音がするので、「存在感がある音」かもしれないですね。
F:存在感のある音。なるほど。
