単発ではなく継続開催のかたちにすることで、メンバー同士の交流の場が育つというのも、勉強会のすぐれたところです。最初は2~3名のこぢんまりとした集まりであっても、コツコツ続けることで10名、20名、30名と規模を拡大させていけば、組織のなかで無視できないほどの影響力を持ったコミュニティに育つ可能性もあります。

 大事なのは、むやみに参加人数規模を拡大するよりも、部門を越えたつながり(場合によっては会社の垣根を越えたつながり)をじわじわと形成していくことです。変革において力になるのは、なにより「人のつながり」です。人間関係が公式な所属だけに閉じていると、あらゆるコミュニケーションが“マネジャーの伝言ゲーム”に依存することになり、ダイナミックなうねりが生まれません。

 SNSの口コミや炎上の影響力が絶大なのは、まるでウイルスが感染するように、非公式なネットワークを通じて情報や熱量が高速で伝播(でんぱ)するからです。社内に部門を越えたつながりが張り巡らされていることは、それ自体が組織にとって資産になるのです。また、それまで孤独を感じていた人にしてみれば、関心や問題意識を同じくする仲間が社内にいると実感できるだけで、「組織をよりよく変えていこう」というモチベーションが高まるはずです。

社内勉強会で変革を促す
「巻き込み方」

 他方、このようなコミュニティを形成するときに注意したいのが、会社・職場・上司に対する「愚痴大会」の場にしないということです。

 インフォーマルな勉強会を継続するうちについ熱が入り、なかなか変わらない会社や上司、同僚などにフラストレーションが募ってくることもあるでしょう。

 しかし、よほど経営側に致命的な問題がある場合を除いて、会社に“小石”を投げつけていても組織はまず変わりません。