経営は経営で、変革に向けた試行錯誤をしているはずです。そうであれば、いつでも経営と協力関係が築けるよう、勉強会を「会社のなかの“もったいない!”を探す場」としてデザインし、非公式なコミュニティを育んでおくほうが有意義なはずです。

 ここからも言えるとおり、関係者の「巻き込みやすさ」こそが、有志による勉強会ならではのメリットです。新規事業や闇研究などは、あくまでも閉じたコミュニティのなかで進められることが多く、一定のわかりやすい成果が出てからでないと、なかなか社内の関係者から注目してもらえません。

 他方、だれでも参加できる社内勉強会であれば、活動初期から多様な関係者を巻き込み、思いのほか早く経営にリーチできる可能性を秘めています。

 そのためにはいくつかの工夫の余地があります。

社外の有識者を呼んで
勉強会を活性化させよう

 情報管理などの点で十分に注意すべきではありますが、専門性を持った社外の有識者(先行事例を実践している人や研究者など)を招くことで、勉強会の場そのものが活性化します。また、これまで参加していなかったメンバーや経営陣にも、関心を持ってもらいやすくなるでしょう。

 ある程度参加者が増えて、場の質も高まってきたら、人事部門のメンバーや管理職、役員クラスにも参加を呼びかけてみましょう。社外の有識者をゲストに招いた会などは招待しやすいはずです。

 あるいは、勉強会の講師やアドバイザーとして、勉強会に顔を出してもらうのも1つの手です。忙しい管理職や役員でも、部門を越えた現場のメンバーたちが学習意欲に溢れているとわかれば、講師としてひと肌脱いでくれるかもしれません。

 勉強会の開催は、ナレッジマネジメント促進の観点でもきわめて重要です。たとえインフォーマルな勉強会であっても、告知やコミュニティづくりに社内広報チャンネルを活用することで、社内の多くの人の目に留まります。また、活動の様子や学びを事後レポートとして発信すれば、告知段階では関心を持たなかった人たちからも、「次回は参加したい」という声が出てくるようになります。