米医師が実践、科学に基づく長生きのコツとは心臓専門医のエリック・トポル氏は、85歳以上の人々が健康を維持する要因について研究を行った
PHOTO: PAT MARTIN FOR WSJ

 著名な心臓専門医のエリック・トポル氏には知りたいことがあった。大きな健康問題もなく長生きする人がいるのは遺伝子のおかげか、ということだ。

 トポル氏はこの推測を検証することにした。カリフォルニア州ラホヤのスクリプス・リサーチ・トランスレーショナル研究所に所属するトポル氏と同僚らは、研究プロジェクトとして、85歳以上の健康な人々を集め、DNAを解読、精査した。

 その結果、トポル氏は当初の推測とは異なる結論に達した。

 こうした「スーパーエイジャー」の遺伝子に他の人と大した違いはなかった。しかし被験者は全体として、同じような年齢の多くの米国人と比べて、痩せており、運動量が多く、教育水準が高かった。高齢になっても、ボランティアやダンス、友人との交流、目的と楽しみを与えてくれる活動を続けていた。

 トポル氏は新著の中で、今後、スーパーエイジャーが増える可能性があると記している。がんや心疾患、神経変性は発症までに数十年かかることもあるため、進行のペースを遅くしたり、発症そのものを遅らせたり、病気を未然に防いだりする時間があると同氏は主張している。

 モバイル機器などのデジタル技術が健康状態の把握と改善に役立つという考えを以前から支持しているトポル氏は、自らが認める「技術楽観主義者」だ。同氏は臓器の生物学的年齢を測る検査を受けたり、自分の遺伝子を解読してもらったり、免疫システムを評価して病気のリスクの予測を目指す研究に参加したりしている。

 将来、人工知能(AI)の進歩に伴い、こうしたデジタル技術の活用が年の取り方に劇的な変化をもたらすかもしれない。今のところは、長生きするためにできる簡単で実用的な秘訣(ひけつ)がいくつかある。現在70歳のトポル氏は「自分のアドバイスに従っている」と話した。

 トポル氏は自身の実践法の一部をウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)に教えてくれた。