
【ワシントン】ロバート・ケネディ・ジュニア米厚生長官は農薬の使用が国民の健康に被害をもたらす潜在的理由になっていると主張しているが、政権関係者や当局者の一部はこれに対し難色を示している。事情に詳しい関係者らが明らかにした。当局者の間では、農薬使用についてのこうした主張は食品サプライチェーンの混乱を招くとの懸念が浮上しているという。
ケネディ氏は「メーク・アメリカ・ヘルシー・アゲイン(アメリカを再び健康に、MAHA)」を掲げ、近く発表される報告書のとりまとめを主導。事情に詳しい関係者らは、ケネディ氏が農薬による有害な影響とされる点を報告書内で強調する考えだとしている。同氏は従来、食品から農薬を排除するよう訴えてきた。
だが関係者らによれば、ホワイトハウス高官らはこうした農薬に関する取り組みに懸念を示し、近く発表される報告書を精査している。ドナルド・トランプ大統領がこの件についてどのような立場を取っているかは不明となっている。
また農薬を規制する環境保護局(EPA)と農務省の一部高官は、除草剤を健康に有害なものとして扱おうとするケネディ氏の意向に疑問を投げかけている。
トランプ氏は選挙運動中、ケネディ氏の支援者から支持を得るため農薬について調査することを約束。昨年8月にはケネディ氏と共にアリゾナ州で集会を開き、「きれいな空気、きれいな水、そして健康な国を望む何百万もの米国民が、環境中の有害物質や食品中の農薬について懸念を抱いている」と述べていた。さらに慢性的な健康問題の原因を調査するため、ケネディ氏と協力する専門家パネルを設置することも約束した。