ウチの会社、組合あったっけ?20年で倍増した「衝撃の数字」とは写真はイメージです Photo:PIXTA

労働者が団結し、労働条件の改善等のために組織される「労働組合」。だが、現代ではその意義が受け継がれず、無関心な働き手が増えているという。これからの労働組合のあるべき姿とは――。※本稿は、藤崎麻里『なぜ今、労働組合なのか 働く場所を整えるために必要なこと』(朝日新聞出版、朝日新書)の一部を抜粋・編集したものです。

「すべての働く者が結集できる
組織でなければならない」

 労働組合や連合をどう変えるか。それは労働組合にたずさわる多くの人にとって長くテーマになっていることだ。労働組合の関係者の間で、今も語り継がれる文書がある。2003年9月に出され、今もネット上で公開されている「連合評価委員会最終報告」だ。

 結成10年ほどたった連合で、改革機運を高めていた当時の連合会長の笹森清氏が、連合に何が必要かを外部有識者らに検討してもらうためつくった委員会だ。

 座長は弁護士の中坊公平氏で、副座長の神野直彦・東京大学教授ら有識者や国際団体の幹部、文筆家ら7人の委員が02年から1年半にわたってタウンミーティングなどもはさみながら、計9回の委員会を開催し、議論してつくられた。

 報告書では、当時の新自由主義的な流れを「マネーゲーム化した資本主義の荒廃・ゆがみ」と批判し、「労働組合員が自分たちのために連帯するだけでなく、社会の不条理に立ち向かい、自分よりも弱い立場にある人々とともに闘うことが要請されているのである」と強調した。

 この時点で、パートなど非正規労働者、若者、女性、中小地場産業労働者、サービス・ソフト産業労働者は重点的にアプローチする必要があると指摘したうえで、今後は契約労働者や個人請負業者という雇用労働者以外の労働者も包摂できる組織のあり方を模索する必要があるとも書いていた。