ロビーの奥には、カフェスペースのほか、ちょっとした雑談ができるソファやベンチなどがある。また、廊下にもカウンターテーブルやハイチェアが置かれ、立ち話ができるスペースがある。

飲みニケーションなんて要らない!「たった3分の雑談」で生産性を高める北欧流チームワークとは?ノボ ノルディスク本社には、立ち話できるハイチェアがある 同書より転載

 オープンで開放的で、軽い爽やかな空気が流れていて「仕事感」がない。

週1回の朝食会を
「雑談タイム」に

 ノボ ノルディスク本社の職場カルチャーづくりを担当しているオーレは、同社日本法人の社長を務めていたこともある。すらっと背が高く、丸型のメガネをかけた、誠実で紳士な方である。訪問すると、ジーンズにワイシャツとセーター姿で迎えてくれた。

「日本で仕事をしてたときは、仕事帰りによく社員と外食してました。夕食を食べた後、さらにハシゴして飲んだりもしてましたね(笑)」

 懐かしそうに、日本で働いていた頃のことを振り返る。その語り口調からは、賑わう路地裏の夜の雰囲気が彷彿とするようで、この方は日本にどっぷり浸かってきたのだなぁ、となんだか嬉しくなる。

 だが、デンマークの本社では、勤務後に飲み会などはしないと言う。その代わりに、部署ごとに年に数回のイベントや交流の場を設けている。

 それから、週に1回、同じ部署のみんなで朝食会を開く。

 オーレの部署では、毎週金曜日、オフィスで30~45分の朝食会を開催する。朝食を用意する担当者は毎週替わり、上司であっても部下であっても、同じようにその担当が回ってくる。

 朝食会では、ちょっとした雑談をする。

 ある人が「最近、運転免許を取得した」という話をすると、別の人が「自分は高齢になってから運転免許を取得して苦労した」という話をする。

 こういった雑談をすることで、お互いの人柄や近況などがわかって親近感が湧くし、何よりも話しやすくなる。

飲みに行かなくても
腹を割って話せるデンマーク人

「社外でないと話しにくいこと」はないのだろうか、と思って尋ねてみると、こんな回答が返ってきた。