「そういえば、デンマークでは、飲みに行かないですし、飲みに行く必要性も感じないですね。なんででしょう。不思議ですね……。

 もしかしたら、普段からプライベートなことも報告しあっているからかもしれません。週末に参加した誕生日会のことなんかも含めて、なんでも話してます。

 あと、デンマーク人は仕事上の反対意見も面と向かってストレートに伝えるので、飲みに行かなくても済むのかもしれませんね(笑)」

 どうやら、デンマーク人のコミュニケーションは、想像以上にシンプルなようだ。なんでもストレートに話すから、水面下で細かい根回しをする必要もなければ、終業後に愚痴大会を開く必要もないのだ。

 デンマーク人の人間関係は、軽くあっさりしている。職場の人とは、飲んでディープに話すのではなく、勤務時間中に「軽い雑談」をして、お互いのことをサクッと知る。

 それだけで十分、コミュニケーションは取れるのだ。

非日常空間で
「役」を脱ぐ効用

 洗練されたオシャレなノーハウン地区に、家具・インテリアブランドAudo Copenhagen(オドー・コペンハーゲン)がある。シックな紅色のペンキで塗られた建物の中に入ると、カフェラウンジが広がり、その半階上には明るい陽が差すショップ兼ギャラリーがある。落ち着いていながら視覚的に刺激があるAudoのスペースは、ちょっとした「非日常空間」だ。私のお気に入り空間でもある。

 Audoのデザイン&ブランドディレクターであるヨアキムは、社内の打ち合わせにも、ショップやラウンジを使用することがある。開放的で自由な空間では、普段とはちょっと違う会話が生まれるからだ。

飲みニケーションなんて要らない!「たった3分の雑談」で生産性を高める北欧流チームワークとは?Audo Copenhagenのカフェラウンジ 同書より転載

「会議室に座ると、どうしても職場での『役』を演じてしまうからね。こっちのラウンジやショップの方に来ると、いつもの仕事上の関係が崩れて、ちょっと違う感じでプライベートに話せるからいいんだよね」