「役」を脱いだ「顔」が見えると、それが、仕事のしやすさにつながることもある。
趣味や関心を知ると、その人となりや、大事にしている価値観が見えてくる。そうなれば、チームで新しいことに取り組むときに「そういえば、あの人は?」と、その役にピッタリの適任者を思いつくこともできる。
自分のプライベートや趣味・関心を他のメンバーとちょっと共有しておくだけで、自分が面白いと感じるタスクが、自分のライフスタイルにも合ったムリのない形で舞い込んでくる。
デンマークでは、職場でのランチタイムも、「役」を脱ぐ時間である。
30分の短いランチタイムは、上司も部下もインターンもごちゃ混ぜだ。みんなが適当な席に座って、フラットに会話を交わす。
主な話題は、近況報告である。週末の出来事やら昨日の出来事やら、お互いの近況をアップデートして、息抜きをしながら、お互いの「状態」を感じ合う。
初対面の人と同席したときは、簡単な自己紹介をする。そして、この人とはもう少し話せそうだなと思ったら、プライベートの近況や自分の関心事などもちょこっと話す。そうすると、お互いの「顔」が見えるようになって、次から気軽に話せるようになる。

勤務時間中の「短い隙間時間」を、お互いをちょこっと知り、お互いの状況を軽く把握するために、最大限に活用する。それこそが、デンマーク人の大切にするコミュニケーションである。
もし読者のなかで、そんなに積極的に話しかけるなんて自分にはムリだ、と感じている人がいたら安心してほしい。デンマーク人は、とてもシャイな国民だ。少々遠慮がちで、そんなに社交的でもないから、初対面の人になかなか自分からは話しかけられない。でも、みんな、話しかけられたら嬉しい(笑)。ちょっと日本人に似ていないだろうか。
この人だったら話してもいい、そう思ったら自分のことを少し話すだけでいい。