株主総会2024#4Photo by Takeshi Shigeishi

北越コーポレーションが、窮地に追い込まれている。6月27日に開く株主総会で、筆頭株主の大王海運と第2位株主のオアシス・マネジメントから取締役の選解任を求める株主提案を受け、しかも合わせて約4割の北越株を保有する両株主は互いの提案に賛成し合うとしている。その窮地を脱することができるのか。3回連載「激突!12年目の決戦」の中編で、元銀行マンで現在は北越の社内取締役として財務や総務を統括する柳澤誠CFO(最高財務責任者)に直撃した。(ダイヤモンド編集部副編集長 重石岳史)

井川氏の支配は株主共同利益に相反
北越の業績低迷は「でっち上げ」だ

――大株主の大王海運とオアシス・マネジメントから取締役の選任や解任を求める株主提案がありました。これに反対した理由は何ですか。

 まず大王海運は、実質的オーナーである井川俊高氏の狙いが、当社が保有する大王製紙株を手に入れ、大王製紙を支配しようということにあるからです。それは俊高氏の利益になるかもしれませんが、他の株主の利益にはなりません。

 またオアシスは、岸本晢夫社長の解任理由に北越コーポレーションの業績低迷を挙げていますが、これは事実と違います。2021年度は営業利益や当期純利益などで創業以来最高益を計上し、22年度は連結売上高で初めて3000億円を超えました。

 当社の「夢」であった3000億円超えを、ようやく達成できたということです。PBR(株価純資産倍率)やTSR(株主総利回り)など主要財務指標も、競合他社の平均を上回っています。業績低迷は全くのうそであり、でっち上げです。

 ちなみに岸本は昨年、旭日中綬章を頂いております。社長在任中の品行方正が認められ勲章まで頂いているものですから、突っ込みどころがないのだと思います。

北越に株主提案した大王海運とオアシスは、岸本社長の手腕を問題視した。しかし柳澤氏は、北越の業績は好調だとして「突っ込みどころがない」と反論する。さらに昨年12月に導入した買収防衛策の必要性や、大王製紙との提携の狙いについて次ページで明かす。