ダイムラートラックは、EVに加え、水素燃料電池(FC)や水素エンジンなどにも力を入れており、その開発投資のスケールメリットが期待できる。日野自・三菱ふそう統合で日野ブランドを生かしつつ商用車の電動化など幅広い協業を行える点で、ダイムラートラックとの協業に利があると見たのだろう。
日本の商用車メーカーは、これでいすゞ自動車・UDトラックス(旧日産ディーゼル)と日野自・三菱ふそうの2陣営に集約される。さらに大きく見れば、いすゞ・UDトラックスはスウェーデンのボルボグループ、日野自・ふそうはダイムラートラックグループとして、アジアや日本での生き残りを目指す。12日には、トヨタ本体の株主総会が開かれ、豊田章男会長から「日野自・ふそう統合により(商用車で)実質2グループになる大編成が民間主導で(実現)できた」と、その意義が示された。
改めて、6月10日は豊田自動織機の非上場化、日野自の外部企業との統合など、大胆なグループ再編の動きが集約された“記念的”な一日となった。加えて、トヨタグループの“総帥”であり創業家の豊田章男氏が、自動車産業の各団体を横断し、かつユーザー団体も加盟する自動車会議所会長に就くというビッグイベントも重なった。
10日は午前10時から豊田自動織機の株主総会に始まり、日野自・三菱ふそうの会見終了は夜の9時近くに及んだ。トヨタにとって、とても長い一日だった。
(佃モビリティ総研代表 佃 義夫)