世代ガチャを解消するには
給付or減額より「給付+減税」

 年収が上がらず、物価高の中「みんなで支え合う」という日本の寡婦年金と社会保障制度下では、不公平感を感じ、世代によっては不満も増えて、幸福感にも影響を及ぼしているでしょう。

 世代ガチャをなくし、平等性を重んじるならば、自分で自分のためだけにお金を積み立てる方法(シンガポール式など)にするしかありません。ただし、大胆な改革のためには、その経過、移行期間の切り替えをスムーズにする必要があり、それには大変な労力とコストがかかるでしょう。

 選挙公約では、自民党も立憲民主党も2万円の給付、立憲民主党は加えて消費税の減税を掲げています。しかし、どちらも対象となる所得や世帯が異なるので、どうしても不平等感が残ります。

 そこで、最近、諸外国でも導入されている「給付付き減額控除」が注目されています。これは低所得者には「給付金」、高所得者には「減税」をするという制度で、税の平等性を重んじて英米やスウェーデンなどの国で導入されています。石破総理も党首討論で、この導入に理解を示しています。

 この制度は、税金から一定額を控除するのですが、控除額のほうが大きい場合は、その差額を現金給付します。

 例えば、給付付き減税控除の額が10万円だとすると、納税額が15万円の人の場合、控除額の10万円を引いた、5万円だけを納税し、納税額が8万円の人の場合は、10万円から8万円を差し引いた残りの2万円が現金として給付されることになります。非課税世帯の場合は、10万円がまるまる現金給付されることになります。

 所得が低い人ほど税の負担が重くなる不公平感をなくすには食料品の軽減税率がありますが、給付付き税額控除の方が、より不公平の解消ができると考えられます。給付付き減額控除は、より低所得者を考慮した制度となっています。

 いずれにしても、制度は一長一短で、すべての人に効果があるわけではありません。いかに国民に世代ガチャに納得してもらうかにかかっています。

 政策の方向性はこれまでの高齢者を考慮した制度から、子どもや低所得者に配慮した制度に移行しており、今後もその傾向は続きそうです。そして少子化の原因にもなっている置き去りにされた氷河期世代の対応にもようやく力を入れ始めています。