保険料納付猶予制度を賢く活用
フリーランスの息子は厚生年金に加入
また、保険料納付猶予制度は、50歳未満の人で前年の所得が一定額以下の場合には、申請書を提出し、承認されると保険料の納付が「猶予」されます。
手続きをしないと未納になりますが、申請をしていれば保険料免除・納付猶予の期間となります。この期間は、病気や怪我などしても、一定の要件に該当すれば障害年金、遺族年金を受け取ることができます。
これは、前年の所得が一定以下の場合、免除・猶予を申請できる仕組みとなっています。「全額」免除を申請するなら前年の所得が67万円以下である必要があるので、佐藤さんの息子は該当しません。ただ、所得が168万円以下の場合は4分の1を免除できるので、息子の場合も該当する可能性があります。
注意すべきは、これは一人暮らしの場合に限るということ。佐藤さんの息子の場合、同居しているため家族全員の収入の合計で計算されるので該当しなくなります。
制度を活用するためには、息子は佐藤さんと世帯を分離する必要があります。
国民年金の毎月払い込む金額はどんどん高くなっていて、2025年度は月1万7510円を払い込まなければなりません。年間では21万120円にもなり、年収200万円前後の佐藤さんの息子にはかなり負担が大きいです。しかし、ちゃんと申請すれば、考慮されます。
さらに佐藤さんは、息子に厚生年金に加入するようアドバイスしました。佐藤さん本人が厚生年金の期間が短く、国民年金期間が多かったため、年金額の少なさに愕然としました。
確かに、繰上げ受給を選択した人は、国民年金(基礎年金のみの人)では25.7%、厚生年金では0.7%(厚生年金保険・国民年金事業年報)で、国民年金だけの人は、目先のお金に苦労していることがわかります。
息子には、厚生年金に加入させることで年金が増やせると考えたのです。
現在、息子は業務委託の形でフリーランスとして働いていますが、その取引先の会社に頼みこんで、厚生年金に加入したいと相談させました。
すると、会社は息子に、来年から副業可能な契約社員となることを提案してくれました。社会保険や厚生年金にも加入することが可能になりました。社会保険料は給与から引かれるようになりますが、これで将来の厚生年金を受け取る額も増えます。